Symptom 20160816(お萩)

 

 

ここではないどこかに、今の君をありのままに受け止めてくれる場所があると君は信じているようだね。そう、そこはまるで楽園のような場所。しかし残念ながらそんなものはどこにも存在しない。こことは違うどこか、君の全てを受け入れてくれる場所、そんなものはないんだ。それらは全て幻想にすぎない。

 

楽園っていうものはね、いいかい?ここからが大事なんだけど、自ら武器を持って戦火をくぐり、荒れ果てた原野を明日の保証もないまま耕し、そうやって君自身が作り出すものなんだよ。探したって見つからないのさ。なぜなら楽園はまさにそこ、君が立っているその場所にあるからなんだ。これは比喩でもなんでもない。君が今立っているその足の下に楽園は存在するんだ。だから楽園を欲するのであれば、自分の戦場を逃げちゃいけない。荒れ果てた地を耕し、種を植え、水をまくことを怠ってはいけない。そこが戦場だろうと、荒野だろうと、君の生きる場所はそこにしかないんだ。

 

さらに皮肉なことに、「楽園」というのは「戦場」や「荒れ野」と言う言葉と対になるものなんだ。「楽園」があるところ「戦場」があり、「戦場」があるところに「楽園」がある。相補的なものなんだよ。わかるかな、それらの場所は互いなくしては成立しないものなんだ。

 

なぜなら楽園を感じるためには、戦場を感じる必要性が必ずあるからだよ。「楽園」というのは絶対的なものではない。それはあくまで相対的なものなんだ。「戦場」があるからこそ、「楽園」を感じることができる。「不幸」があるから「幸福」を感じることができるのと同じことだ。だから君は自分の戦場を逃げ出すことはできない。逃げた先にエデンの園が待っていることはないんだ。