(写真:萩沢写真館)
「だいたいよう、自習監督なんかいらねえんだって」
まだ5時前だったが空はすでに薄暗く、今開いたばかりの天井の高い食堂は人影もまばらで、なんとなく冷え冷えしていた。
丸パンに蜂蜜をつけ、薄い野菜スープを飲みながら、副菜のグリーンサラダをぽそぽそと食べた。
ここでは何物も薄味だ。
「うちの学校は時間割変更とかやってねえんだから」
まるで苦い茶でもすするように吉住はその薄いスープをすすった。
「自習に対応はできねーの。だから自習にしなきゃない日は休講なんだよ、休講。」
高校生向けの給食がこんなに薄味で、はたして彼らは満足するのだろうか、とぼんやり思った。
「まあよ、課題が難しすぎっときは俺が2時間話ししてやっからよ、わはは」
パンの日はハズレだ。最後の授業が終わる前までに必ず腹が減る。逆に麺の日は多すぎる。
全部食い切れたためしがない。