(写真:萩沢写真館)
俺は馬鹿だったよ。
転校の前の日、真紀が自分の好きなヤツの名前を言えないのは、
俺に照れてるからだってしか考えられなかった。
俺のことが好きだから、恥ずかしいから、俺の前で言えないんだ、そうとしか思えなかった。
そんなわけないよな。
そんなわけあるわけない。
真紀は単に、俺を先に帰して二人きりで山口に告白したかったんだよ。
俺はそんなことも分からなかった。
真紀は俺のことが好きだとばかり考えていた。
だからついに真紀が「私、山口君のことが好きなの」って言ったとき、一体俺は何が起こったか分からなかったよ。目の前が真っ暗になった。
俺は何も分かってなかったんだ。
俺は馬鹿だったんだなあ。