Symptom 20171021(№96)(お萩)

(写真:萩沢写真館)

 

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再び彼女の隣の席になったのは冬休みが明けてからのことだった。水泳部はとっくにシーズンオフになっていたが、夏の大小の大会を乗り切ったおかげで俺は、初めて彼女の隣に座ったときよりも「ATGCさん」と大分マシなコミュニケーションを取れるようになっていた。(彼女は歯列矯正をしていたのでものを食べながらはあまり笑わなかったけれど、一緒の班で話をしながら食べるの給食は楽しかった。給食の後、彼女は必ず歯を磨いていた。)


しかし「やっかいな後輩」につきまとわれ始めたのもその頃だった。2月のバレンタインデーを前に、俺は部活動の「やっかいな後輩」に好かれてしまった。「やっかいな後輩」はバレンタインデーの日も毎時間、クラスに顔を出しては俺にプレゼントを持ってきたものだった。