Symptom 20171001(№89)(お萩)

(写真:萩沢写真館)

 

 

俺は馬鹿だったよ。転校の前の日、真紀が自分の好きなヤツの名前を言えないのは、俺に照れてるからだってしか考えられなかった。俺のことが好きだから、恥ずかしいから、俺の前で言えないんだ、そうとしか思えなかった。そんなわけないよな。そんなわけあるわけない。真紀は単に、俺を先に帰して二人きりで山口に告白したかったんだよ。俺はそんなことも分からなかった。真紀は俺のことが好きだとばかり考えていた。だからついに真紀が「私、山口君のことが好きなの」って言ったとき、一体俺は何が起こったか分からなかったよ。目の前が真っ暗になった。俺は何も分かってなかったんだ。俺は馬鹿だったんだなあ。