Symptom 20170322(№83)(お萩)

先生に言われて食事と用便以外はこのベッドにずっと横になって5日が経つ。私は、何もかもが怖くて、それこそ青空がある日突然バリンと割れて地上にいる私の上に降ってくるんじゃないかと思うほど何でも怖くて、そのことを先生に言ったら先生は私に2週の間、何もせずに横になっていろと言われて、それで私がベッドに横になってもう5日が経つわけなのです。その間、空が割れて落ちてくることもなかったし、逃げた馬が他の馬を引き連れて戻って来ることもいなかったし、巨人のガチョウが金の卵を産むこともありませんでした。

先生は何を話しても「はあ、そうだったんですか。それは苦しかったですよね?」としか答えてくれません。「あと何日間横になっていなきゃならないか、不安なんですね?」「ただベッドに横になっていることにどんな意味があるのか分からなくて、やきもきしてるんですね?」「ベッドに横になっている間に仕事が滞ってしまわないか、焦ってるんですね?」。先生、先生、先生!私が知りたいのは質問の答えであって、受容と共感じゃないんです!「ケツからクソが出る」と言ったらあなたはなんとお答えになるのですか!?

私がしてほしいのは絵の具を垂らした紙を鼻をかむように二つ折りにして閉じて、開いた紙を見てその絵の具の模様に感想を言ったり、自分の好きなように人形や建物、おもちゃの自動車なんかをクッキーの空き缶の中に並べたり、主語や述語が予め決まっている一行作文の続きを描いたりする様なことじゃないんですよ、先生!

私はこれまで何のために生きてきたのか、これからどう生きたらいいのか、時々、いや実を言うとかなり頻繁に困惑します。
およそ何が自分の生きている意味なのかが明確でないと、日常生活を送る上での「芯」の様なものがあやふやになってしまいます。そして他人はその私のあやふやな「芯」につけ込んで、やれ何をしろだの、何をするなだの、何をしてないだの、何のかんの言うんです。何のかんの言われるのは、私はもうこりごりなんです。
そうです。私は空が割れて落ちてきてほしい、割れた空から未知のエネルギーが降り注ぎ、他の人はみんな死んでほしいと思っているのです。
そうして私は今日も、ベッドに横になりながら空が割れるのを待っています。